運命の一夜を越えて
「会いたかったから。彩の顔が見たかったからに決まってんだろ。」
そういうと渉は私の手をギュッと大きな手で包み込むように握りながら、私を自分の方へ抱き寄せた。

大きな胸の中は大好きなお日様に似た香りがする。
季節はすっかり冬なのに、この場所だけはいつだって温かい。

渉を拒絶したことを思い出す。

私はこの人を傷つけたのに・・・

どうして私に背中を向けず、むしろ両手を広げて私から離れずにいるのよ・・・


渉に強く抱きしめられながら、私はこのまま時が止まってしまえばいいのにと思った。

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