運命の一夜を越えて
「タクシーで帰る」
まるで幼い聞き分けのない子供のような自分が嫌になる。

「一人で帰る」
「彩っ」
少し強くなる力に、私は思わず「痛いっ」と言葉を出してしまった。
「ごめん」
咄嗟に手を離す渉。
その瞬間私は近くを通ったタクシーに手をあげた。

タクシーが目の前で停まり私はすぐにタクシーに乗り込んだ。

見ないようにしても、立ち尽くす渉が視界に入る。

私は自分の胸をギュッと握りしめながら、目を閉じた。

このまま消えてしまいたい・・・
< 248 / 498 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop