運命の一夜を越えて
家に帰ってから、私は急いで荷造りを始めた。
喪服の用意をしたり、実家にもっていくものをキャリーケースに次々に詰めていく。
途中で母に連絡をして、必要なものや今後の段取りを確認した。

「明日の始発でそっちに向かうから、お母さん、今日は一人にしてごめんね」
『いいのよ。気を付けてきてね。』
母は声にこそ元気がないものの、いろいろと慌ただしくやらなくてはならないことができて、気が紛れているようだった。
親戚も明日集まることになっていて、今夜は母を一人にしてしまうことが心苦しい。

母との連絡を終えてから私はシャワーを浴びた。

頭からシャワーの熱いお湯をかけて、ギュッと目を閉じる。
悲しそうな渉の目・・・
これで完全に私は嫌われたはずだ。

もうそばにはいたくはないと、愛想つかされたに違いない。

これでいいんだよ・・・・これで・・・これでいい・・・
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