運命の一夜を越えて
今まで聞いたことがないくらい、自信のなさそうな渉の声。

ここで泣いたらだめだ。

この時が来ることを覚悟を決めていたのに。

ここで少しでも泣いてしまったら、渉の心につくってしまった傷を深めるだけだ。


もしも今、素直な言葉をあなたに伝えれば

あなたはきっとすべてを投げ出して私の未来を守ろうとしてくれる
隣で優しく見守ってくれる

でもね、だからだよ

だから・・・言えない・・・

そばにいたいなんて
離れたくないなんて
愛しているなんて

言えない・・・

あなたには輝かしい未来を歩いてほしい・・・
< 261 / 498 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop