運命の一夜を越えて
「別れたい・・・」
自分でも驚くほど小さな声しかでなかった。

「そんなに彩を苦しめてるのは俺なのか?」
「・・・」
違うよ。そうじゃない。

私の勝手なんだよ・・・

渉は何も悪くない・・・

心で否定しながら、私は首を縦に振った。


「なら、俺のこと、思いきり拒絶しろ。俺が諦められるように。俺を拒んでくれよ。」
泣きそうに震えた声の渉が、私の体を抱き寄せる。

「どうしたらこの気持ち諦められるのかわかんないからさ。教えてくれよ。」
切ない声が私の全身に響く。
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