運命の一夜を越えて
「諦められないんだよ。離れられないんだよ。嫌いになんてなれないんだよ。どんなに背中を向けられても、その背中を抱きしめたくてたまらない。この気持ちをどうやってコントロールしたらいいのかわからないんだよ・・・教えてくれよ・・・。」
ギュッと抱きしめられている力の強さが強くなる。

渉の想いをはじめて感情のままにぶつけられているような気がする・・・。

「・・・もう無理だよ・・・」
「・・・何が?何が無理なんだよ」
吐き出した言葉に、渉がすぐに反応する。

「最後くらい、俺にぶつけろ。最後にしたいなら、俺になんでもぶつけろ」
「・・・言えない」
「言えよ」
「言えない」
「どうして」
「どうしても」
「言うまで離れない」
「・・・」
抱きしめる力を弱めないまま言葉を返してくる渉。
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