運命の一夜を越えて
「・・・どうして離してくれないのよ・・・離してよ・・・」
「やだ」
私がどんなに逃れようとしても、渉の力にはかなわない。

「嫌い」
「愛してる」
「大嫌い!」
「愛してる」
何度私が拒絶するような言葉を言っても渉は私を抱きしめる力を弱めるどころかさらに強める。

「愛してる」
そう何度も繰り返す。

「あんなにひどいこといっぱい言ったのに。」
「あんなの本心じゃないなんてわかるに決まってんだろ。どれだけ俺がお前を好きかわかってないのかよ。」
「本心だもん」
「違う。」
「違わない」
「彩、愛してる。」
< 264 / 498 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop