運命の一夜を越えて
「何も感じないの」
「ん?」
「何を食べても味がしない」
「うん」
「何をしていても、考えることはひとつだけ」
「うん」
「どんなことをしても、何をしても、心がマヒして空っぽなの」
「彩・・・」
私は渉の背中に手をまわした。

「渉がいないと・・・」
「・・・・」
「からっぽで、何も感じない・・・」
「・・・」
「どうして離れてくれないの?」
「離れないよ」
「どうして嫌いになってくれないの?」
「愛してるから、嫌いになれないんだよ」
「どうしてよ・・・」
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