運命の一夜を越えて
私の母の住んでいる父の実家のそばには母の実家もあり、親戚や古くからの知り合いも多い。

渉は結婚をしたらすぐにでも私に仕事を辞めていいと言ってくれた。
でも、仕事は嫌いじゃない。無理のない程度に続けることにして、どうしても家事との両立が大変な時は、パートタイムに切り替えるなど話し合うことにした。
自分自身の仕事へのプレッシャーも減ったからか、それまで以上に私はのびのびと仕事に向き合えているような気がする。そして、今まで以上に有休を使って母に会いに行くことも増えた。

「彩」
「ん?」
二人で暮らしているのは渉の住んでいたマンション。
二人で暮らしても十分広い。
「準備できたか?」
「うん」
今日は私の一年に一度の定期検査の日だ。

この検査の予約をしたときは、一人で検査を受けに行くことになるだろうと思っていたのに、今日は渉も付き添ってくれる。
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