運命の一夜を越えて
『明らかに体調悪そうな声してんじゃん。車の音かなり聞こえるし、タクシー拾えないでしょ。』

この男・・・本当になんだってわかってしまう・・・
エスパーなの!?


「大丈夫です」
『ダメ。送る。家のそばまで送るだけだから。』
「結構です」
電話で話をしていても、本当に全身が痛くてしゃがみこみたい衝動にかられている私。
「本当に大丈夫なんで、切ります。」
話をしているのがつらくて、今日も押し問答をする余裕などない。

携帯を耳元から離して、画面をスライドし、私は無理やり通話を終わらせた。

少し罪悪感は感じる。

でも、これを機に、瀬川渉と距離を離せたらそれはそれで一石二鳥だ。

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