運命の一夜を越えて
この雰囲気が嫌だ・・・

辛かった思い出ばかりだ。

私が病気で生死をさまよった時にずっと見上げていた天井と同じ。

父が亡くなった日に絶望のなか見上げたのもこの天井だ。

私は点滴していないほうの腕を自分の目の上にのせて見ないように目を閉じた。


自然と体の中から恐怖に似た感情が湧き上がる・・・


負けそうだ・・・


私は自然と負けないように、自分を守るために思いだしていた。
温かな瀬川渉のぬくもりを・・その優しく穏やかな微笑みを・・声を・・・
< 79 / 498 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop