運命の一夜を越えて
私が点滴をしている病室はカーテンで仕切られた隣のベッドの処置の音が筒抜けだった。

カチャカチャと医療器具があたる音・・・モニターの電子音・・・ツンとくる消毒の匂い・・・


一生懸命悪い記憶を思い出さないようにしているのに・・・思い出してしまう・・・

私は目をふさいでいた腕を耳にあてて、音を聞かないようにしながら、ギュッと目を閉じた。

点滴なんて関係ない。
両手で耳をふさぐと、自分の手がひどく震えていることに気が付いた。

自分の体の震えが余計に恐怖心をあおる・・・


嫌だ・・・嫌だ・・・


助けて・・・ここから早く抜け出したい・・・
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