運命の一夜を越えて
そこにはもう彼はいない。

急に寂しくなった気持ちに自分でも驚きながら私は携帯電話を出して彼にメールを送った。

『今日は本当にありがとうございました。大量の食糧と雑誌も、ありがとうございます。この御礼は必ずします。』

メールを送り部屋に入るとすぐに携帯電話が鳴った。

『体調管理しっかりするように!早く治れー!何かあったらすぐ連絡すること!何かなくても連絡しろ!』

彼からの返事に再び自分の頬が緩んでいることに気が付く。

『あっ、どさくさに紛れて呼び捨てしてごめんな。年下だからってバカにしてるわけじゃないからな?誤解しないように!ただ距離つめたかっただけだから。』

すぐに送られてきた2通目のメールに私は再び笑ってしまう。
【彩】と呼ばれていることに気づいていた。どきどきだってした。

その感覚を思い出して、少し恥ずかしかった。
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