誰よりも近くで笑顔が見たい
「しばらく起きないだろうしさ、送ってくよ」


知らない男の人と歩く……。


躊躇ってしまった。


「1人で帰らせたってバレたら蓮にキレられる」


「じゃあ……」


そう言った私にその人はニコッと笑った。


「じゃあ、行こっか」


私は、上原くんの枕元にクリスマスプレゼントとして用意しておいたマフラーを置いて、その人を追いかけた。


「お邪魔、しました」


そう言って、家を出るとその人が歩きながら口を開く。


「蓮の彼女?」


そう聞かれて、頷いた。


「夏から?」


もう一度、頷いた。


「そっか。蓮、あの頃からちょっと表情豊かになったもんな」


この人と、上原くんってどんな関係なんだろう。


「あの、上原くんと、どんな、関係、ですか?」


「ああ、言ってなかったね。蓮の兄貴、だよ。名前は上原 柊(しゅう)」
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