誰よりも近くで笑顔が見たい
たぶん、そっちの方が近い。


そう思い、頷いた。


私をこうしたのは、世間の視線。


そして、あの男の人のせい。


「じゃあ、これからここで一緒にお弁当ってだめかな?」


えっ……。


「おい桜玖。やめろ」


怒ったように上原くんが止めようとしてくれる。


「そうよ。さっき男性恐怖症のこと言ったばかりでしょ!」


なのちゃんも少し怒ってる。


「……いい、よ」


私は、ぎゅっと目をつぶって言った。


「え……?」


なのちゃんは、すごく驚いてる。


「いいの?」


自分から聞いたはずの杉本くんも驚いて聞き返してる。


それに頷くと、ふと上原くんが目に入った。


無表情で特に感情が読み取れない。


「じゃあ、明日から昼休みはここに来るわ。じゃあな」


そう言って、杉本くんがサッカーボールを持って出ていく。
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