誰よりも近くで笑顔が見たい
お母さんが優しく笑う。


「そっか」


なんだか恥ずかしくなって、それだけ言ってクッキー作りに取り掛かった。


チョコ味、抹茶味、バニラ味。


3種類の味でどれも甘さ控えめにしてみた。


上原くんが甘いもの食べてるところって見たことないから。


ラッピングをして一度冷蔵庫に入れると、お母さんがお昼ご飯を作り終わってた。


お母さんと一緒にお昼ご飯を食べると、部屋に戻って髪を軽く梳かす。


耳の上あたりにあの髪飾りをつけると、少し耳元で揺れる。


パーカーのワンピースにダウンコートを着ると、部屋では少し暖かすぎるくらい。


小さめのカバンに作ったクッキーを入れて、家を出た。


歩いて公園に行くと待ち合わせする時のベンチに1人。


「柊、さん……」


柊さんは、弾かれたように顔を上げると私を見て少しだけ微笑んだ。
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