誰よりも近くで笑顔が見たい
元気に、なったみたい。


さっきまで柊さんが腰掛けていたベンチに座って、上原くんを待った。


公園の時計は、約束の1時まであと5分を指してる。


その時計を見つめながら、時が過ぎるのを待った。


「蘭」


時計の針が1時を指すと、上原くんが現れた。


首には、私が枕元に置いておいたマフラー。


「上原くん、もう、平気?」


1番に聞くと、私の隣に腰掛けた上原くんは優しく笑ってくれる。


「ああ。ごめん、部活あとなんかに呼び出して」


申し訳なさそうな上原くんに首を横に振る。


「これ、ありがと」


上原くんがキュッとマフラーをつまんで言う。


「で、お返し」


差し出されたのは、大きめの袋。


「ありがとう。開けても、いい?」


そう聞くと、上原くんは頷いた。
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