誰よりも近くで笑顔が見たい
結ばれているリボンをほどいて、袋の中を見るとクリーム色の暖かそうな生地見える。


袋から出すと、それはマフラーだった。


「実は、クリスマスで渡そうと思って買ったんだけど、まさか一緒だとは思ってなくて」


よく見てみれば、上原くんに渡したマフラーと全くおんなじ形。


「ふふっ。おそろい……」


そうつぶやいた。


すぐに自分が言ったことが恥ずかしくなって俯く。


「忘れて……」


もう一度呟くと、上原くんの笑った声。


顔を上げれば、顔を赤らめながら笑う上原くんが見えた。


「……っ」


それにドキッとしていると、隣からくうって音がした。


「……腹減った」


次は、本当に恥ずかしいのかそっぽを向いてしまった。


「あ、あのね」


私は、クッキーの存在を思い出してカバンからそれを出す。
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