誰よりも近くで笑顔が見たい
「作って、きたから、食べて?」


差し出すと、上原くんはそれを受け取ってくれる。


ラッピングをほどいて、クッキーが上原くんの口に運ばれた。


「うま……」


そんな声がして顔を上げると上原くんが微笑んだ。


「ありがと、食べる?」


クッキーが差し出されて、私の手のひらに置いてもらう。


私も一口食べると、上原くんと目があった。


お互いに微笑みあって、2人でクッキーを一緒に食べた。


「ありがと、うまかった」


上原くんは、そう言うと立ち上がった。


「送ってくから、行こ」


手を差し出されて、その手をぎゅっと握る。


上原くんもそれに気づいてぎゅっと握り返してくれる。


会話なんて、ほとんどないのに楽しい帰り道だった。
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