誰よりも近くで笑顔が見たい
「おめで、とう、ござい、ます」


そう言うと、柊さんは私の隣に座った。


「もうお参りしてきた?」


頷くと、柊さんは黙ることなく話し続ける。


「おみくじ引いた?俺、大吉引いちゃった」


ニコニコと笑いながらそのおみくじを見せてくれる。


「私、小吉、でした」


不思議と、話せた。


自分から話題を広げるなんて、1番苦手なのに。


「お、いいじゃん。いつも通りってことで」


あ、そっか。


微妙、なんじゃなくていつも通り。


「そう、ですね」


そう言って私は、そう言って笑った。


「……っ」


「柊さん?」


顔を覗き込むと、ほんのり頬が赤い。


「風邪、ですか?」


「違う違う。蘭ちゃんが可愛すぎてびっくりしただけ」


噂されることはあっても、面と向かってそんなこと言われるのは、稀だから……。
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