誰よりも近くで笑顔が見たい
「……」


黙ってしまった。


「あ、ごめん。黙っちゃったね」


「柊さん、は、悪く、ないです」


そう言いながら、首を横に振ると柊さんは安心したように微笑んだ。


「ありがと」


一度、会話が途切れた。


「蘭!」


沈黙を破って聞こえたのは、なのちゃんの声。


「会っちゃった」


そう言ったなのちゃんの後ろには、上原くんと杉本くん。


上原くんの首に巻かれてるのは、私があげたマフラー。


「あけまして、おめでとう」


「おめでとう」


そんな短い会話も、嬉しい。


「兄貴、友達が探してた」


上原くんは、少し微笑んだあと視線を柊さんに向けた。


「あー、マジか。じゃあ行くわ。蘭ちゃん、じゃあね」


そう言われて、お辞儀すると手をあげて柊さんは去っていった。
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