誰よりも近くで笑顔が見たい
腕を絡まされている上原くんを見ると、嫌そうな顔をしてるのに振り払うことをしない。


なんか、モヤモヤする。


「ねーえ、一緒にお弁当食べない?」


猫なで声のその人は、言った。


たぶん、私のことなんか見えてないんだろうな。


「俺、別の人と食べてるんで」


上原くんが私に目を向ける。


それに気づいたその人は、私に睨むような視線を送った。


「あんた……」


吟味するように見られる。


「あっ、高嶺の花の子だわ!高坂蘭!」


名前を呼ばれたから黙って頷く。


「へえ……」


その人は、意地悪く笑った気がした。


「私、水谷 彩芽(みずたに あやめ)あんたには、負けないから」


その人、水谷先輩は自分の名前と宣戦布告のような言葉を私に向けた。


水谷先輩は、私に見せつけるように上原くんにはくっつく。
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