誰よりも近くで笑顔が見たい
あの時は、意地になって絶対に渡さないなんて言ったけど、そんなの俺の勝手だよな……。


蘭は、俺といるより兄貴といる方がよく話す。


こんな、口下手な俺よりも兄貴といた方が楽しいんじゃねーのか?


俺と付き合ってるから、蘭が兄貴の元へ、楽しいと思える方へ行かないのか?


大体、最初助けたのが俺だったのは、ただの偶然。


高嶺の花の高坂蘭とは、元々不釣り合いだったんだ。


『相手を想った行動を』


これが、俺の相手を、蘭を想う行動。


『放課後、屋上に来て』


これで、終わりにしよう。


送信ボタンを押すと、チャイムが鳴った。


なんて、言おうか。


それからの授業なんて聞き流してすらいない。


耳にも入ってこなかった。


時間は残酷で、すぐに放課後。


部活もなく、真っ直ぐ屋上へ向かった。
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