誰よりも近くで笑顔が見たい

涙と雪

「別れよう……」


苦しそうに告げられた言葉になにも、聞こえなくなった。


なにも、考えられなくなった。


色が消えてしまった気がした。


なんで……。


唯一思えたのに、言葉にできなかった。


聞くのが、怖かった。


嫌い、つまらない、なんて言われるのが怖かった。


「……」


黙ってしまった私に、上原くんはさらに言葉を発する。


「高坂さん。元気で」


高坂さん……。


その言葉がこだまする。


呆然としているうちに上原くんは、屋上から出て行ってしまった。


まだ整理できない頭で私は、屋上から出た。


「蘭……」


玄関では、なのちゃんが待っててくれてた。


どんな顔をしていたんだろう。


私を見るなり、なのちゃんは抱きしめてくれた。
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