誰よりも近くで笑顔が見たい
〜蓮side〜


「ら、……。高坂さんには、俺みたいなやつより、兄貴みたいな人の方がいい」


慣れない、高坂さん呼び。


この言葉に桜玖は、黙ってしまった。


忘れようと、思うのに高坂さんからもらったマフラーを外せない。


今日だけは、と思ってしまう。


初恋の、相手だった。


高校生になるまでは、女子を女子と見たことがなくて、なによりもサッカーが好きだった。


初めて会った時、この子は口下手なんだと思った。


俺も話す方ではないし、これっきりだろうと思ってたのに、次の日、必死にお礼を言ってくれた。


笑顔を見せてくれた高坂さんを可愛いと思った。


同時に高嶺の花の理由もわかった。


あまりにも眩しくて、俺が好きになるにはもったいない人だと直感した。


でも、すぐにそんな感情打ち砕かれて。
< 149 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop