誰よりも近くで笑顔が見たい
こんな苦しい日々、嫌だと思うのにこうやって泣いてるうちは、
上原くんのことを考えても、許される気がする。


でも、そんな日々にも終わりがくる。


1ヶ月後には、涙が出ることなんて無くなった。


悲しいって感情も感じすぎて、もう慣れてしまった。


どれだけ楽しくても、どれだけ面白いことを言われても、笑えない。


笑わない、じゃなくて笑えなくなった頃、柊さんに呼び止められた。


「蘭ちゃん、突然ごめんね」


学校前の公園。


申し訳なさそうにする柊さんに首を横に振った。


「蓮と、別れたんだって?」


頷いた。


人に聞かれて認めたのは、これが初めてだった。


「そっか。じゃあ、俺と、付き合わない?」


突然の言葉に思考が止まった。


「蘭ちゃん、好きだよ。
初めてだったんだ、あんな風に受け入れてくれる人がいるって言ってくれた子」
< 153 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop