誰よりも近くで笑顔が見たい
〜蓮side〜


高坂さんとの別れてから、1ヶ月。


未だに好き。


諦めようとすればするほど忘れられない。


あれから、中庭には行ってない。


高坂さんのいない中庭で、弁当を食べる勇気がなかった。


思い出してしまうから。


情けないよな。


自分から振ったくせに忘れられないとか。


高坂さんのほうが……。


いや、兄貴がいるか。


さっさと俺のことなんか忘れて楽しくやってるかもしれないな。


客観的なあざ笑うような感情。


ため息と一緒に吐き出してしまいたい、ドロドロとした感情。


そんな感情が数日後、綺麗に消え去った。


「蓮、振られた」


兄貴がわざわざ俺の部屋まで来て、言った。


彼女と別れたばっかの弟にそれ言うかよ……。


一瞬だけ睨むと、兄貴が笑った。
< 156 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop