誰よりも近くで笑顔が見たい
俺の言葉に兄貴はさらに笑った。


「高坂さんには、忘れられない人、いるんだろ」


「ああ。振られたのにまだ好きなんだってよ」


「そうか」


改めて付き合ってる間、その人を思ったままだったのかな。


少しくらい、そいつのこと、忘れてくれてたかな。


「いい加減気づけよ。蘭ちゃんは、まだお前のこと、好きだぞ。
俺を振るときにまだ蓮が好きだって言ってた」


蘭が……。


「だから、後悔しねーようにな」


蘭……。


他人に戻るために戻した呼び方は、消えていた。


『今から、会える?』


LINEを送った。


もう、なにも迷う必要はない。


蘭……。


もう一回、好きって言わせて。


                 蓮side end
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