誰よりも近くで笑顔が見たい
『今から、会える?』


そのLINEに泣きそうになった。


『会う。公園でいい?』


私たちの待ち合わせ場所。


『うん』


その返信を見ると、着替えて家を出た。


満月で明るかった。


冬の刺すような寒さも気にならなかった。


「上原くん……」


公園に着くと、そうつぶやいた。


いるかな……。


「蘭……」


優しい声、優しい表情。


少し、痩せたんじゃないかと思う。


頬を冷たいものがつたった。


「ごめん、蘭」


あの時、高坂さんって呼んだ上原くんの冷たさはない。


「ごめん、俺、勝手に突っ走って……」


何度も謝る上原くんに抱きついた。


「……好き。まだ、好きなの……」


また、頬を伝う涙。


それを、上原くんの指がすくってくれた。
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