誰よりも近くで笑顔が見たい
さっきのプロポーズの余韻が消えない。


手元のブーケと蓮くんを代わる代わる見る。


「ん?」


行きと同じ言葉。


少しだけ、甘い声な気がする。


「んーん。何でもない」


家の中に入ると、蓮くんが寝室から小さな箱を持ってきた。


「蘭」


優しく呼ばれて、蓮くんの近くへ行くとその箱を差し出される。


「高校生の時、誰よりも近くで笑顔が見たいって言ったけど」


突然言われて、その時を思い出す。


「泣いた顔も怒った顔も不安そうな顔も満足そうな顔も、笑顔も全部、誰より近くで見ていたいって思う。
改めて、俺と結婚してください」


「私も、見たい。笑った顔も優しい顔も無邪気な笑顔も優しい笑顔も。誰よりも近くで。
蓮くん、ずっと一緒にいてください」


そうこたえると、蓮くんが私をぎゅうっと抱きしめる。
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