誰よりも近くで笑顔が見たい
補足するように話すけど、長く言葉を話すのは、あんまり得意じゃない。


話せば、周りの人がざわめいて、盗み聞きみたいなことをされるから。


あんまり、人に自分のことを話せなくなった。


「うーん、それは、本人に直接聞かなくちゃね」


言うの……?


私が……。


「それにしても、蘭が気にする男子なんてあの人以来じゃない?」


もう、思い出させないでよ……。


私の、唯一の恋の記憶。


最悪な、もう2度と恋なんてしないって思った。


そんな記憶。


「ごめん、思い出したくないか」


謝られて私も頷く。


「でも、上原くんは絶対にそんな人じゃない」


わかってる……。


でも、傷つくのが怖い。


まだ、恋とは言わない。


でも……。


「気になる……。上原くん、のこと」
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