誰よりも近くで笑顔が見たい
そう言うと、なのちゃんは優しく笑った。


中庭を見ると、委員会が終わったらしい杉本くんと上原くんが2人でお弁当を食べている。


あ、上原くん、笑ってる。


私にも、向けて欲しいなあ。


そう思った途端、じわりと頰が熱くなる。


『水谷先輩と上原くんってお似合いだよね』


その熱さを冷やすように蘇った言葉。


忘れてた……。


そうだ、お似合いなんだ。


上原くんと水谷先輩は……。


まだ、引き返せる。


“気になる”を“なんとも思ってない”に変えられる。


距離を置こう、上原くんのことを好きになっちゃう前に。
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