誰よりも近くで笑顔が見たい
少し、モヤモヤするから見るのをやめて、教室に戻る。


そんな日々が2週間続いた頃の放課後。


「蘭、ごめん。ミーティングあるの」


なのちゃんが放課後部活がある時は、時間がかかるから1人で帰ってる。


でも、帰れるなら、2人で帰りたい。


「時間、かかる?」


そう聞くと、なのちゃんは首を横に振る。


「待ってるね、中庭で」


中庭、その言葉になのちゃんは目を見開いたけどすぐに手を振って廊下を走っていった。


私も、行こう。


そう思って、中庭目指して歩く。


中庭に来るのも、2週間ぶり。


最初の時みたいに誰かに見つかるなんてありませんように……。


そう願いながら、中庭で本を開く。


前と同じ。


あの時は、上原くんが助けてくれたけどもう頼れない。


だから、誰も来ないで……。
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