誰よりも近くで笑顔が見たい
今日も、同じように帰る。


「あっ!」


なのちゃんが思い出したようにこっちを向く。


「私、今日バスケ部の練習あるんだった、ごめん先帰ってて?」


え、1人で帰るの?


「おい、蘭ちゃん今日1人だってさ。誘ってこいよ」


「何言ってんだよ。お前が行けよ」


ひそひそと聞こえてくる声になのちゃんはため息をついた。


「ごめんね、部活終わるまで中庭で待っててくれる?」


他の人に聞こえないように耳元で私に言ってくれる。


「うん、待ってるね」


なのちゃんにそう言うと、私たちは別れた。


「はあ……」


歩いて中庭に来ると、二つ、向かい合うようにベンチが置いてある。


あまり日も当たらないし、サッカー部の練習場所に近いからあんまり人が来ない。


お弁当を食べる場所に迷っていた私となのちゃんが見つけた場所。
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