誰よりも近くで笑顔が見たい
優しく運ばれて、先生たちのコテージに来ると上原くんがベッドに下ろしてくれた。


「じゃあ、俺はこれで」


そう言って、自分のコテージに戻ろうとする上原くんの袖を掴む。


「……?」


困惑した表情の上原くんを見つめて訴えかける。


すると、上原くんは少しだけ笑って私の隣に腰掛けた。


でも、1人分くらいの距離はとってくれてる。


少しすると、養護教諭の先生が私のところまで来て、足の状態を見る。


「捻挫ね。まさか、この足で歩いてきたの?」


先生は、信じられないというような表情で言った。


「いえ、俺が……」


上原くんが訂正すると先生は、少し笑った。


「ふふっ。女嫌いって聞いてたけど、高坂さんだけは特別なのかしら?」


からかうような先生のセリフに上原くんが戸惑いながら話す。
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