誰よりも近くで笑顔が見たい
「いや、別に……。誰から聞いたんすか、そんなこと」


特別じゃ、ないんだ……。


否定するための言葉に落ち込む。


少しだけ、自分は特別なんじゃないかって思ってた私がバカみたい。


「結構いるのよ?上原くんの隠れファン」


いるんだ……。


上原くん、優しいから好きになる子、多いのかな。


「隠れファンって……。それより、早く手当してください」


強引に話を終わらせた上原くんを笑いながら、先生が私の足に湿布を貼る。


熱を持った足には、ひんやりと心地よかった。


テーピングもしてもらって、最後に先生が言った。


「じゃあ、足のことで何かあったら言ってね」


頷くと、先生は笑ってコテージから送り出してくれた。


上原くんと2人で同じ傘に入りながら短い距離を歩く。


思い出すのは、さっきの話。
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