誰よりも近くで笑顔が見たい
「なあ、夏祭り行かね?」


衣替えもすっかり終わり、もう明日は終業式。


杉本君が突然言い出した。


突然のことに誰も何も言わない。


「菜乃花に聞いたんだけど、蘭ちゃんあんまり出歩けないんだろ?外に出ると、すぐに男が寄ってきて」


少し返事に困って、苦笑いで返す。


「だからさ、俺と蓮がボディガードになるから一緒に行かね?」


夏祭り、ずっと行ってみたかった。


行きたい……。


それに、これが約束できれば上原くんと夏休みも会える。


なんとなく上原くんの方を見ると、目があう。


ドキって心臓が鳴って、目を逸らしてしまう。


あの日、林間学校の日から、こんな風。


ジャージは、次の日に洗って返したけどその時も目は合わせられなかった。


「なあ、蓮は?」


「部活あんだろ」
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