誰よりも近くで笑顔が見たい
見れば、上原くんも杉本くんが階段を登ってくるところだった。


「はあ、ごめん、浴衣で来るつもりだったんだけど練習押して……」


走ってきてくれたのがわかる。


2人とも汗をかいていて、肩で息をしてる。


ここまで走ってきてくれたんだと思うと、嬉しくなる。


近くの時計を見れば、約束の時間ぴったりだった。


「そんなのいいよ。飲み物、いる?」


「いや、それより早く屋台まわろ。腹減った」


そう言って笑った杉本くんにななちゃんは、笑顔を返して2人が歩き出す。


それについて行くように上原くんと2人を追いかける。


なんとなく上原くんの顔をみると、さっきまでの苦しそうな表情なんて微塵もしてなくて、いつもと同じ顔をしていた。


ううん、ちょっとだけ、顔が赤い気がする。


「蓮、射的あるぞ!」
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