誰よりも近くで笑顔が見たい
そんな抵抗、もろともしずに私の隣に置いてあったバッグを掴む。


いや、離して……。


心は、いくらでもそう言うのに言葉にできない。


誰か、助けて……。


「うっ!」


そう願った時、その人の唸り声とともに私の肩から手が離された。


「……」


顔を上げると、目の前には倒れたその人。


たぶん、その人に当たったんだろうサッカーボール。


そして、私のリボンと同じ色のネクタイをした男の子がいた。


「くっそ、てめえ、何しやがる!」


その人は、男の子に殴りかかった。


男の子は、さらりとそれを避けてその人のお腹に自分の脚で蹴り込んだ。


「ぐはっ」


苦しそうな声とともに、その人はよろよろと歩いて中庭から出て行った。


すごい、先輩相手に……。


あ、お礼、言わなくちゃ。
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