誰よりも近くで笑顔が見たい
杉本くんが笑って言う。


「いいのか?」


少し申し訳なさそうな上原くんが杉本くんに聞き返す。


私もなのちゃんを見ると、笑ってガッツポーズをしてくれた。


杉本くんも上原くんの耳元で何かを話してる。


「じゃあ……。高坂さん、いいっすか?」


私は頷くと、上原くんと近くのベンチに座った。


会話なんてほとんどないのに、心臓がドキドキ跳ねる。


周りの会話なんてまるで入ってこなくて、ただただ無言の空気が流れる。


「高坂さん、これ……」


突然差し出されたのは、さっき上原くんが景品としてもらってた髪飾り。


「もらって、くれますか?」


「私、に?」


そう聞くと、上原くんは頷いて私の手に髪飾りを置く。


遠目に見ても可愛かったのに、近くで見るともっと可愛い。
< 50 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop