誰よりも近くで笑顔が見たい
半透明の淡いピンク色の花がいくつか集まって、作られてて、そこから雨のあとのつゆのみたいに透明の雫が揺れてる。


「つけても、いい?」


そう聞くと、上原くんは頷いた。


なんとか髪にピンを差し込むと、雫が揺れてるのがわかる。


上原くんが、私のためにとってくれた。


その事実が嬉しい。


『似合ってる?』


なんて聞く勇気、私にはないけど上原くんはくれた。


「似合ってるっす。浴衣も、それも。あと、化粧も」


欲しかった言葉をくれた。


メイク、気づいてくれてたんだ。


「ありがとう……」


嬉しくて、笑顔でお礼を言う。


「お、いたいた!」


杉本くんの声がして、笑顔がいつもの顔に戻る。


「おっ、蓮、渡せたんだな!」


私の付けてる髪飾りを見て、杉本くんが笑う。


「ああ」


「これで、お菓子の借りは返したからな」
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