誰よりも近くで笑顔が見たい
「あ、高坂さん来たよ!」


ドアを開けた瞬間、そう言われた。


驚いてその場で固まっていると、衣装係の子がメイド服を持ってやってきた。


「高坂さん、これ着て!」


渡されて、更衣室代わりの教室に連れて行かれる。


気づいた時には、もうメイド服を着せられていた。


教室に戻ると、注目されてしまって脱ぐこともできず、諦めた。


「高坂さん、呼び込みだけでいいからやってくれない?」


「その可愛さを使わないなんて損だよ!」


呼び込み……。


「うん」


こんなに頼まれたら、断れない。


頷くと、なのちゃんが不安そうにみてる。


「蘭、いいの?」


「うん」


「私も呼び込みだから、一緒に頑張ろうね」


なのちゃんと一緒なら、多分大丈夫。


なのちゃんの笑った顔につられて笑う。
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