誰よりも近くで笑顔が見たい
しみじみと呟く。


「だいぶ、恐怖症も克服できたみたいだし」


「うん」


そんな会話をしながら、屋上にたどり着く。


誰もいない。


なのちゃんと2人で屋台で買ったものを食べる。


食べ終わると、柵に腕を置いてぼーっと校庭を見つめる。


その流れで、中庭を見てみる。


誰か、いる。


2人。


それを見て、私は動けなくなってしまった。


「上原くん……」


と、知らない女の子。


モヤモヤする。


黒い気持ちがぐるぐる渦巻く。


「蘭?」


心配したなのちゃんがこっちにやってきて、私の視線をたどる。


「上原くんと、誰よ。あれ」


ななちゃんの声が、いつもより低くて怒ってるのがわかる。


その女の子は、上原くんの腕に自分の腕を絡めてる。


上原くんは、嫌そうな顔してる。
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