誰よりも近くで笑顔が見たい
「高坂さん」


上原くんの声が聞こえたのは、それから30分後のこと。


「上原くん……」


「ごめん、遅くなって。相談、受けてて」


嘘、告白、されたんでしょ?


言えない自分がもどかしい。


「昨日のこと、見てたって聞いた」


なのちゃんが言ったのかな……。


「お似合い、だったよ?」


そう言うと、上原くんの目が見開かれた。


「なんで、そんなこと言うんだよ」


低い声。


自分に怒りを向けられてるのがわかる。


「告白、された、んでしょ?」


ああ、言っちゃった。


その言葉に上原くんは苦虫を噛み潰したような表情になった。


「された」


「なんで、嘘、ついたの……」


いつもは、飲み込んでばかりの言葉がいっぱい出てくる。


「不安に、させたくなかった。告白も断った」
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