プラチナー2nd-
「ずっと、和久田くんが何か言ってくるかなってどきどきしてたのよ。でもなにも言ってこないし、なんなら和久田くんに会えなかったし……。好きって認めた次の日からそんなんだったら、ちょっと本気なのか疑うじゃない?」
紗子の論に、詩織は天井を見上げて考え込んだ。そうだな、確かに和久田も言葉が足りなかったんだなと思う。思うけれど、好きだと告白をして相手もそうだと言ってくれたら、其処から始まる時間は二人の時間なんじゃないのか。詩織はそう言ってみたけど、紗子の機嫌は直らない。
「……だって、私、初めてなんだもん……。教えてくれなきゃ、分からないわよ……」
成程、それで拗ねているのか。これはいよいよ和久田の分が悪そうだ。詩織は紗子の頭をやさしく撫でた。
「……和久田くんから何か言ってくれると良いわね」
「……もう知らない、あんな人……」
頬を朱(あか)く染めて、紗子が言う。口ほど和久田を嫌ってなさそうで、詩織は安心した。