プラチナー2nd-
パンケーキはきれいで美味しかった。二人してテラス席で写真を撮ってSNSにそれぞれアップした。クリスが紗子のアカウントを知りたいと言ったので、交換した。タイムラインに同時にパンケーキが並んでいて、本当にデートだな、と思った。
カフェで喋りつくして、次は何処へ行きたいかと尋ねると、紗子の会社を見てみたいという。流石に会社見学は出来ないけれど、ビルの一階にコーヒーショップが入っている。営業なんかは休憩も兼ねてそこでコーヒーを飲むことがあって、テーブル席で何度か打ち合わせをしたこともある。
「じゃあ、ビルまで行ってみる?」
「良いんですか?」
OKがもらえるとは思っていなかったらしい。驚いて、そして嬉しそうにクリスが笑った。
クリスと居ると彼の笑みで幸せになれるし安心できる。和久田を前にした時みたいに心臓がテンパらなくて良いと思った。あんな心臓のジェットコースターみたいな乱高下、毎日繰り返すのは大変だ。おしゃべりが止まらないクリスの隣を心地よく歩いていると、先刻の店の前を通りかかった。…ちょっと気になって、クリスを待たせて店に入る。目当ての品たちから吟味して一つ選ぶと、そっけない紙袋にそれを入れてもらい会計をした。
「お待たせ」
「なにか、買ったんですか?」
「ああ、うんとね……」
もう一度並んで歩きながら、紗子は会計してそのまま持っていた紙袋をクリスに差し出した。
「……えっ?」
目の前に紙袋を差し出されたことの意味が分かっていないクリスに苦笑する。
「さっきクリスがTシャツ見てた時に見つけたの。手が大きいから似合うんじゃないかなと思って」
でも、デザイン気に入らなかったら捨てて。
そう言って紙袋をクリスに持たせた。クリスは、えええっ!? と少し興奮した様子で、見ても良いっすか? と尋ねてきた。