プラチナー2nd-
「松下の事、好きだよ。だから、俺と付き合って欲しい」

ひたと目を見て言われて、改めて自分はこの人とお付き合いをするんだという意識が湧いた。すると、途端にクリスのことを思い出す。和久田にも、クリスにも、悪いことをした。

「ごめんね、私……」

「いいよ、あいつのことは、もう」

和久田が気にしないそぶりを見せたから、それで救われる。

和久田の言葉に、うん、と返事をすると、和久田がこれからのことを提案してくれた。

「それでまず、踏まえておきたいのは、当たり前だけど仕事と自分の健康第一。そんで次にお互いのこと。三番目に友達のことって考えてくれたら嬉しい」

でも、この前みたいにクリスの約束が先に入ってしまう時もあると思う。そういう時はどうするんだろう。

「お互いわだかまりを抱え込まないためにも、どんな相手と一緒に居て欲しくないとか、ちゃんと言うべきだと思う。俺は、笠原みたいな女同士の友達ならいざ知らず、お前に好意を持ってる男とお前が一緒に居たら嫌な気持ちになるよ」

成程。それはうすうすそうなんじゃないかなとは思っていた。覚えておこう。

「あと、これは俺が勝手に思うだけだけど、俺は松下が泣くのは俺自身が辛いから、出来るだけお前が泣かないでいいようにしたいと思う。泣かなくて、笑ってくれてたらそれだけでいいかな」

だから、辛いこととかあったら全部言ってくれていいんだぞ。

まじめな顔から一転、ふわっとほどけたように微笑む和久田の周りに、光の粉が舞う。
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