プラチナー2nd-

クリス


新宿のいつものお店。今日は以前のように遅くなっていないので店内で食事を摂っている人もいる。紗子たちも食事を頼んだ。浜嶋は生ハムと白トリュフのパスタ、紗子は今日のおすすめだという、温泉卵と豚のほお肉のカルボナーラ風パスタだ。

今日は金曜日の食事時と言うことでテーブル席が埋まっており、紗子たちはカウンターに腰掛けている。目の前ではシェフたちが器用な手さばきで次々と食事を作り上げていた。

紗子が今日のおすすめパスタを頬張ると、豚のほお肉のうまみがじわっと口の中に広がって、たまらない幸福感を生み出した。じっくり咀嚼し、味わってから飲み込む。

「どう? 今日のパスタは」

聞いてきたのはシェフの一人、山脇だった。紗子が食べたパスタを作ったのは山脇シェフだった。

「はい、とても美味しいです。豚肉の旨味が堪らないです…。温泉卵と絡めても美味しいし、何時も美味しいご飯をありがとうございます」

紗子の言葉に山脇は微笑った。

「それなら此処に連れてくる浜嶋くんにもお礼を言わなきゃ。浜嶋くんも何時も贔屓にしてくれてありがとうね」

「俺も此処の味は好きだからな」

山脇はふふ、と優美な笑みを浮かべて、浜嶋くんも此処で働いてくれればいいのに、と言った。浜嶋は趣味で料理を独学で学んで、腕前はシェフ並みだとのことだけど、浜嶋が転職してしまったら紗子は困る。
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