プラチナー2nd-


週明け月曜日、紗子は週末の間に溜まったメールの確認と、着手中のデザイン画の起こしで時間を取られていた。休憩も忘れて夢中になって画面を見ていたら、ふと画面が陰ってなんだろうと振り仰ぐと、和久田が其処に立っていた。

「……なに? 仕事中だけど……」

「……週末、浜嶋主任とまたあの店行ったってホントか」

なんだその話か。今更否定する理由もなくて頷く。すると和久田がちょっと顔を歪めた。

「もう未練ないんじゃなかったのか」

そんなこと言われたって、困る。気持ちは理性でどうにもならないし、二年間ずっと好きだったのに、嫌いになったんじゃないから、なおさら急になんて変われない。ましてや、和久田は紗子に何か言ったわけではないのに。

「和久田くんに、なんでそんなこと言われなきゃいけないのか分かんない。だって、貴方、何も言わなかったじゃない」

不満をぶつけるように紗子がそう言うと、和久田は、はあ? と声を上げた。

「何も言う気がないなら、放っといて。私、忙しいのよ」

そう言って和久田を追い払うようにしっしっと手を振る。丁度パーティションの向こうから、会議だぞと和久田を呼ぶ声がして、和久田はしぶしぶ去って行った。其処へ入れ違いで詩織が来る。
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