優しい『君』とおちていく
『君』は突然に
ある日、柊 唯愛の居場所である家が壊れた。
お母さんとお父さんが喧嘩したのだ。
「離婚しましょ。」
「ああ。」
「じゃあ唯愛は私が引き取るわ。」
「いいや、俺が引き取る。」
「私よ。」
「俺だ。」
私は2人にとって『物』になっていた。
「「唯愛はどっちがいい?」」
そうやって聞く癖にどうせ私の意見なんか通してくれないに決まってる。
2人の圧力に負けて外に走った。
外は雨が降っていた。
これだったら2人も付いて来ないだろう。
「はぁ……、はぁ……はぁ、はぁ……」
私は公園の中に入った。
誰にも見られたくなかったから。
雨が強くなってきた。
もうこのまま、雨の中に溶けてしまいたい…